
わたしはどちらかというとアイドル時代の彼女より
20代後半から30代にかけての女優時代が好きである。
八重歯をなくし、顔もほっそりとなった頃が実に美しいと感じる。
バブル時代が彼女のその頃なのだが
バブル時代の女性のファッションが好きだった私には
その当時流行った服を着ていた頃が一番のお気に入りである。
彼女のことで一番思い出すのは
彼女の大ファンであった友人のことである。
一度彼女のコンサートに誘われたことがあったが私は遠慮した。
今思うと行っとけば良かった。
彼女は二度の結婚を経験しているが不幸にも二度とも失敗に終わった。
ファンからすればなんでかなぁ、の相手だったですが
恋愛のことは当人達しか分からないですからね。
人の人生は数奇なものです。
彼女の衣装はアイドル時代殆んどがフリフリ衣装で
そういう感じからすれば70年代の印象が強い。
20代後半時たまに歌番組でミニ・スカートを穿いて歌っていたが
かなり足は綺麗だった。
今回もこの先は私の個人的な思い出なので
読みたい方だけ読んでください。
私は基本的に二股以上の掛け持ちは出来ないタイプである。
ひとつの恋が完全に終わらないと前に進めない不器用なタイプである。
前スレでM子ちゃんに触れたが
彼女に対してはステディーな関係になることに怖さと不安を感じていて
結局最後までああいう感じになってしまったような気がする。
今回は男女の間にも友情は成立する?みたいな
H子ちゃんとの苦い思い出である。
私の友人は大の石野真子ファンであった。
友人によればH子ちゃんは石野真子に似ていた。
私が思っていたのは石野真子+浅田美代子+友里千賀子であった。
何れにせよ可愛い娘だった。とにかく明るい。
賑やかでうるさいような感じでなく、いつもニコニコしていた。
仮に彼女が男であったとしても人が寄ってくるタイプなのだ。
大学受験も押し迫った私が高校三年生の冬、
何を思ったか冬休みにアルバイトをした。
何故だか高校生最後の思い出を作りたかったのかも知れない。
校則違反であったがとにかくやりたかった。
私は友人を誘い、犬山のとある店で働くことにした。
色んな学校の学生、生徒が20人ほど雇われた。
私はレストランのウェーター、友人は厨房と離れ離れになった。
ウェーター部門はどんなにお客さんがいなくてもずっと立ちっぱなしだった。
私はかなり足が痛くなって、気分を紛らす為に併設の売店を覗いた。
女の子が二人詰めていた。
H子ちゃんとその友人だった。
岐阜県の高校に通っているという。
H子ちゃんの友人は私と同級生なのに「お姉さん」のような感じで落ち着いていた。
話しているうちに打ち解けてきてやがて手伝うようになり
挙句には売店専属になった。私もこちらの方が向いていると感じた。
休憩時間も一緒に取るようになり、会話も増してきて
そのうち私の友人も交えて話すようになった。
やがて友人がH子ちゃんに好意を持っていることに気付いた。
女の子の前では割と口数が少ないのに、彼女の前ではかなり積極的に話していたからだ。
しばらくして友人からもその意思を伝えられた。
私たちがこれだけ好意を感じているのだから、他にも誰か狙っているのかもしれない。
バイトの中には大学生もいたので、私は「友人の思い」という大義名分を以って果敢に攻勢に出た。
その甲斐あってか、数日後には私と友人、H子ちゃんとその友人の4人で駅まで一緒に帰るまでになった。
冬休みのバイトも残り少なくなった頃、帰りの駅で妙に話が弾んで夜の8時過ぎになってしまった。
私は彼女達を送ろうと切り出した。
私の家は放任か寛容か知らないが門限はなかった。(私は別に不良ではなかった)
私の友人は厳格な門限は無いにしろ、色々言われるような感じの家だったし、その駅からだと友人の家は私の家より遠いのでかなり帰宅が遅くなることが考えられた。
その友人がまさか
「俺も行くよ」と言うとは思ってもみなかった。
そんなに好きなのか・・・私は場の雰囲気を壊したくなかったので友人に帰宅の助言などせず、
そのまま一緒に彼女達の住む町に向かうことにした。
彼女達は岐阜県の東濃地方に住んでいた。
今は廃線になって鉄道は通ってないが、当時は赤い電車が2〜4両編成で走っていた。
連絡接続が悪く彼女達の町に着いたのは午後9時近くになってしまった。
H子ちゃんは私たちの帰りを気にしつつも、町を案内してくれると言った。
夜だし田舎だし見れるところは無いはずであるが、吊り橋やダムなど嬉しそうに案内してくれた。
「こんな田舎で女の子がこんな時間に男連れで町を歩きゃ、変な噂も立つだろうに」と
最初のうちは私も心配していたが彼女のもてなしに凄く楽しめた。
結局その路線の上り最終に乗って帰ることになった。
翌日、バイト先でH子ちゃんの友人からある事を聞いた。
実はH子ちゃんには社会人の彼氏がいるとの事だった。
私はどうしたものかと考えあぐねたが傷が深くなるより今話した方が良いと思い
友人に率直に話し、諦めるように勧めた。
友人はあっさりと諦めた。潔いのである。
私はH子ちゃんがその後どうなのか気になって彼女がレギュラーでバイトしていたスーパーに行った。
レジを打っている彼女が目に映った。また違った感じである。
他愛も無い話をして直ぐ店を後にした。
何日か経ってから私は気付いた。
既に私はH子ちゃんの虜になっていた。
友人の為と思って接しているうちに自分が彼女の魅力にとりつかれてしまっていた。
友人に諦めさせておきながら、自分が当事者となっている。
私は精一杯の理性を持ち出してその気持ちを打ち消そうとした。
だがもう遅かった。
H子ちゃんには彼氏がいてべつにどうしようとも深く考えなかったが、気分がスッキリしないのでとにかく自分の思いだけは打ち明けることにした。
私はH子ちゃんに連絡をとり、彼女がバイトしていた町で逢う事にした。
この日も雨。寒々とした冬の雨だった。
その当時その町には高校生が時間を過ごせるような所が全く無かった。
唯一ショッピング・センターが新しく出来ていたのでそこへ向かった。
しかし無常にも休店日で店は閉まっていた。
仕方なく雨が凌げる連絡橋で話すことにした。
私は思いを打ち明けた。
彼女は何か言いたそうな感じだったけどじっと俯いていた。
無言の時間が長かった。
数分後彼女は私にある娘を紹介すると切り出してきた。
これから連絡してここに来てもらうと言う。
数十分後それらしい娘がやってきた。
田舎っぽさは感じるものの普通に可愛い子だった。
来てもらった子に悪いと思い数分歩いて喫茶店に入った。
H子ちゃんはその子を褒め、アピールするのだが私の耳には入ってこない。
別の時だったら私も付き合うことにしたかもしれない。
会話は弾まず暫くしてその子は帰っていった。
私はその子に悪いと思ったが安易な気持ちではやはり付き合えないので
今でもあの判断は正解だと思っている。
H子ちゃんと駅まで歩いた。雨が激しくなるホームで彼女を見送った。
多分これが最後になるだろうと思いながら。
今思えば
代わりの女の子を用意し、直ぐに来られるよう手配してたのかと思うと
当日の彼女の本当の用件はこのことで
私から告白されたことは意外だったのかもしれない。
でも私の気持ちも感じていただろうし、あの成り行きは彼女のシナリオが大きく働いていただろう。
いずれにしても彼女の方が随分大人であったし、女であったんだと思えてくる。
それから半月くらいして私はH子ちゃんをハイキングに誘った。
これは私の長所だがすっぱり気持ちを切り替えて
友達として遊ぼうという思いだった。
気持ちが通じたのかH子ちゃんは快諾してくれた。
なぜ私はハイキングに誘うのかというと
もしかしたらお弁当作ってくるのかなぁ、という期待からである。
そういうことに凄く憧れていたし、お弁当でその子の味、嗜好が分かるからである。
この日は快晴であった。
待ち合わせ場所にいた彼女は膝丈のタイトスカートで大人びた感じでかなり良かった。
で、前々から一度は行ってみたいと思っていた鬼岩公園というところに行った。
今だったら車で現地まで行けば良いのだが私達高校生は電車とバスを乗り継いで遠足気分で辿り着いた。
牧場なんかもあったりして「なかなか良いところじゃん」な感じだった。
大きな人工湖があってそこには貸しボートがあった。
スワンの二人用のもあったがさすがにそれは恥ずかしかったので普通の手漕ぎのボートを借りた。
湖の中ほどに来た頃彼女は
「スカートの中が見えちゃうよ」と言った。
「・・・・・・。見えるわけないじゃん。」
「見たんでしょ」
「・・・・・・(向かい合って座ってるんだし、そんなスカート穿いてたら見えるに決まってんじゃん)」
「やっぱり見えてるって!」
「そんなわけないって。(俺にどうせえっていうの!)」
私は無理に斜に視線を外しボートを漕ぐのだが上手く進まなかった。
(今思えばあれは挑発だったのか。だったらしっかり見とけば良かった。損したなぁ!なんのこっちゃ)
昼近くになったので旅館のレストランで昼食をとった。
彼女の荷物からしてお弁当は持参してないのは明らかだったので
レストランとなったのだがやはり残念な思いがしていた。
私は物凄く憧れがあるのだが今までのデートで女の子持参のお弁当というのは皆無である。
この日は物凄く楽しかった。
彼女が男だとしたら親友になれるだろうに、
男女でなかったら別れずに済むんだろう、そんな思いでいた。
ある種の覚悟もあったので私はこの日は写真は撮らなかった。
この日もあっという間に時間が過ぎて帰る頃には陽が沈もうとしていた。
後に思いを残したく無かったのでこの日は彼女を送らず
乗り換えの駅で別れることにした。
乗り換えの電車に急いで乗れば別れを惜しむこともないだろうと考えた。
結局彼女の後ろ姿も見ずに別れた。
大学受験も終わり、春休みシーズンになった時
以前H子ちゃんたちとバイトした店から1日だけのバイトの要請があった。
少し悩んだがH子ちゃんも来るかも知れないと思い快諾した。
私の友人は来ないことになった。
当日店に行くとほんの数名しかバイトはいない。
そしてH子ちゃんの姿もなかった。
彼女の友人だけだった。
仕事が終わりその後のH子ちゃんの事が聞きたかったので
その友人を送っていくことにした。
帰路、その友人の話では
付き合っていた彼氏とはかなり本気だったらしく将来もそういう方向だと言った。
やはり私の友人はあの時点で諦めたのが正解で
こういう羽目に会うのは私で良かったとも感じた。
H子ちゃんとももう四半世紀以上あっていないが
きっと良いお母さんになっているんだろう。
そう思える女性であった。
今でもふらっとその方面にドライブに出かける事がある。
町の様子は時代に取り残されたように変わってないが
そこに想い出を持つ私はかなり変わってしまった。